もくじ
直弧文ラビリンスへようこそ
直弧文のはじまりは、古墳時代に入る前、弥生時代終わりごろ。
岡山県(吉備地方)で作られた特殊器台に描かれている美しい文様だと考えられています。
直弧文という名前の由来は、とても簡単。直線と円弧で出来ている模様だからです。しかし、実際の直弧文はとても複雑で難解。あなたをラビリンスに誘い込んでしまう古代の文様なのです。
直弧文を描いてみよう
対象を深く知るためには、模写するのが一番(だと思っています)。
まずは真ん中のクロス部分を描いて、あれ、こことそこ、繋がってるの?平面じゃなくて立体だ。
独り言をぶつぶつ言いながら描いたものがこちら。
はい。描く前から分かっていました。無理そうだなーって。
自分で描いてみて思うこと。
こんなに複雑な文様、唯一無二のものに違いないよね…。
実は、直弧文は鏡や刀身具の飾りとして描かれているし、土器や埴輪にも。古墳時代後期の6世紀中頃まで、古墳の石室内にある石障(せきしょう)に描かれているのが見つかっています。地域や時代を越えて描かれ続けた直弧文。こんなに複雑なものをどうやって伝えるのでしょうか。
ちなみに、装飾文様として知られる連続三角文などは、直弧文を略したものではないか?という説もあります。
大幅に略しちゃった!だけど、気持ちわかるかも。▲▲▼
逢いたいのに逢えない直弧文
直弧文が施されている古墳として有名なものを挙げてみましょう。
千足古墳 (岡山県/石障に直弧文)
石室内水没により下半分剥落し、現在は岡山県の埋蔵文化財センターに移送されています。
井寺古墳 (熊本県/石障に直弧文)
熊本地震の被害により、現在立ち入り禁止です。
そうなのです。直に見ることができないのがとても寂しい。今後の修復や公開方法に期待したいですね。
柵越しに毎日逢える直弧文がある!
24時間365日。いつでも直に見ることができる直弧文があります。それは福岡県広川町にある石人山(せきじんざん)古墳。地元の方にとっては、ウォーキングコースの途中に現れる古墳というイメージでしょうか。柵で守られた建屋の中に、直弧文彫られた家形石棺があります。
この直弧文はとても美しい浮き彫り。右から左から上から下から角度を変えてみたいところですが、柵越しなので叶いません。じっくり直弧文を眺めて、ラビリンスへ迷い込みたい!
じわじわと直弧文が気になってきたあなたへ朗報です。
11/13(日)あの柵の向こうへ…
なんと!広川町教育委員会さま全面協力の元、みなさまを直弧文ラビリンスへお連れします。いつもは開かない柵がギィィと開くのです。
今後、定期的に公開される予定のない古墳です。
柵の向こうへご案内できるのは、事前予約された方のみ。興味がある方はすぐに電話予約を!
当日は、直弧文について芸術の目線から深く熱く研究されている西平孝史さんをゲストに迎え、じっくりと直弧文を見学するスペシャルな古代トークを開催します。まだ内緒だけれど、お土産付きです。
当日予約なしの直弧文彫り体験もあります。3年ぶりに開催されるひろかわ古墳まつりで、広川町の古墳を存分に楽しみましょう!