はにわウィーク最終日
8月20日(はにわ)から8月28日(はにわ)までのはにわウィーク最終日です。
祭り主(?)のきゅーぶんけんさんの #はにわっしょい に乗って、最後まではにわの日を楽しみましょう♡
全国でおどるおどる♪踊る埴輪
あなたの思う埴輪はどんな形ですか?
おそらく頭に思い浮かべる埴輪の9割は「踊る埴輪」ではないかと思います。グーグル先生で画像検索した結果がこちらです。どーん!
いやー踊っていますね。全国各地から「踊る埴輪」が出土しているような勢いですが、実は埼玉県の野原古墳から出土したものしかこの世界に存在していません。一基の古墳から出土した埴輪が、全国の古代キャラになっている。アイドル性が詰まった埴輪ですね。ジャニーズ入れるんちゃうか。
1983年から1989年までNHK教育テレビ(現Eテレ)で放映されていた「おーい!はに丸」を思い浮かべる方も多いでしょう。主人公のはに丸王子は武人埴輪。ひんべえは馬型埴輪。これらは形象埴輪と呼ばれてるものです。
形象埴輪シェア第一位は群馬県
武人、巫女、馬、鶏、鹿などなど、様々な形が見つかっている形象埴輪。なんと、日本国内で出土している形象埴輪の約40パーセントが群馬県のものだと言われています。そう、踊る埴輪だけでなく、他の形象埴輪も全国津々浦々から出土しているわけではないのです。
埴輪の無印良品やー!
九州各地の歴史資料館の埴輪エリアの狭いこと狭いこと。出土した埴輪があったとしても、展示されていないことがあるのです。それはおそらく地味…だから??
九州各地の古墳から主に出土する埴輪。それは円筒埴輪です。
約400年続く古墳時代の最初から最後までコンスタントに使用された円筒埴輪。どんな場所にもハマる、なくてはならない無印良品のような存在、円筒埴輪。
円筒埴輪は、かわいらしい形象埴輪たちのお兄さんのようなもの。
兄弟が居るということは、お父さんお母さんも存在します。
九州国立博物館の企画展「しきしまの大和へ〜奈良大発掘〜」に奈良県橿原市の葛本弁天塚古墳から出土した美しい特殊壺と特殊器台が展示されていました。それでは、彼らを例にしてお父さんとお母さんを紹介しましょう。
円筒埴輪の父 特殊壺
特殊壺は、弥生時代後期(2世紀ごろ)に岡山県の吉備地方で発生したものです。装飾性に優れた壺で、首長の祭祀に使用されたと考えられます。吉備地方から奈良まそんな特殊壺をやさしくどっしりと支えるお母さん的存在が…
円筒埴輪の母 特殊器台
特殊壺を上に載せる専用の台である特殊器台です。美しい「弧帯文」と呼ばれる文様がぐるりと刻まれています。ズームイン!!!
美しい文様と一緒に整然と並ぶ透かし穴。この丸や三角の形に見覚えはありませんか?はい正解!円筒埴輪の穴の形と似ていますね。特殊壺(父)と特殊器台(母)から二人の子供が生まれます。
大阪府堺市の大仙古墳には約30,000本もの円筒埴輪が並べられたといいます。凝ったデザインの特殊壺や特殊器台を作っていたら膨大な時間がかかってしまいます。そこで生まれたこの兄弟!
両親の特徴をどちらも持っているのが朝顔形埴輪。 母親(器台)に似ているのが円筒埴輪です。
その後、形象埴輪などのかわいらしい弟や妹があらわれる…と。
動物を模した形象埴輪のうち、早くから作られ始めたのは馬型埴輪だそうです。馬は権力の象徴。憧れですね。
キャラ強めの親戚あらわる
九州は形象埴輪の出土がとても少ない代わりにキャラの強い親戚が出現しています。それが石人・石馬という石製表飾。形象埴輪を石で表したと考えられています。1/1サイズ。もしくはそれ以上の大きい石で作られた武人や馬の姿に圧倒されます。機会があれば岩戸山歴史文化交流館で迫力ある石人・石馬を見ていただきたいです。
岩戸山歴史文化交流館と隣接する岩戸山古墳の別区部分には、石馬のレプリカがあります。磐井の乱の後に折られた首の部分が見つかっていないので銘菓ひよこみたいな形ですが、首があったらどれだけ大きいのか!
ただの筒、地味、どこを見たらいいのか分からない…等と思われがちな円筒埴輪に、壮大なストーリーがあることを知ってほしいという思いを込めて綴りました。伝わったでしょうか。ちなみに特殊壺と特殊器台は、どちらが父でも母でもいいです。
もう一点お伝えしたいことが!
円筒埴輪は埴輪の中で最も沢山の数が作られ、全国各地にある古墳の墳丘に並べられてます。焼き方や作られる過程に時代を映していることから、古墳の年代を決定するための標識ともなるのです。
いわば古墳時代の物差し。もっと、多くの人に注目されてほしいです。
現場からは、以上です!